共済のメリットはなんといっても「掛金の安さ」にあります。
決算後の割戻金を考えに入れた「実質的な掛金」の手頃さは、特になにかと物入りな中高年世代の医療費のカバーにおいて、非常に魅力的と言えるでしょう。
人生、誰しも明日のことはわからないものです。不幸にも大事故に遭遇してしまい、半年や一年も入院するリスクだってもちろん無いとは言えません。
しかし、そもそも健康保険や国民健康保険では、医療費が高くついた場合に自己負担額を超えた金額を保険から払い戻してくれる「高額療養費制度」が用意されています。
・高額療養費(全国健康保険協会)
・東京都福祉保険局 国民健康保険 高額療養費
ごく通常の病気やケガの治療で入院・通院したときは、「健康保険でまかないきれない分の一日数千円程度がカバーできればまずはOK」という考え方のほうが、より現実的ではないでしょうか。
そう考えると、通院で一日500~2,000円、入院で一日2,000~10,000円程度がカバーされ、しかも比較的スピーディーに保障額を支払ってくれる共済は、やはり利用メリットが大きいといえるでしょう。
共済にももちろん、デメリットはあります。
共済は死亡保障や医療保障の金額が固定されており、しかも保障額は最低限のニーズこそ満たしているものの、いわゆる高額の大型保障を提供するものではありません。
もうひとつ、年齢が60歳を過ぎたときのカバーが保険に比べて弱い点があげられます。
各共済の商品とも、そもそもの保障期間が60~65歳どまりか、あるいは保障内容がぐっと下がって継続されるのが普通です。
人生80~90年時代、医療費支出が高額化する「60歳代後半からの保障」をどうカバーしていくかという問題が、ここに立ちふさがります。
そのため「トータルの保障設計ではあくまでも保険商品を主軸に据え、共済はそれを補強するかたちで必要に応じて組み入れていくのがよい」という主張をする専門家も、少なくありません。
共済は商品設計上「年齢に関係なく、掛金は一律・保障も一律」であり、加入者が中高年層である場合は、支払負担感が少なくなるメリットがあります。
生命保険の場合、年齢や職業に応じたリスク設定をどうしても細かく設定して商品に反映させざるを得ないため、加入時の年齢が若ければ若いほど、保障内容に対する支払保険料が安くすむ仕組みになっています。
したがって若い20代の時に、保険か共済かどちらかに加入するとして、保険契約の保険料・共済の掛金の両方を比較してみると、それほど差がないことも多いものです。
それならば普通に考えても、一生涯その保険加入を続けるつもりならば、保障内容が大型で加入時の保険料が安く固定される「保険」に軍配があがるケースが多いことでしょう。これは言い換えると、「若い時の共済加入は、保険より相対的に割高になる」ということです。
しかし年齢が若くしかも独り身のときは、そもそも大型の死亡保障の必要性自体が薄いものです。
また今日的な問題として、不況が長期化する中でのリストラなど、契約加入時に想定していた「給与アップによる生活水準の上昇」を前提にした長期のライフプランをいままで同様描けるかが、多くの勤め人にとって非常に心もとない時代になっています。
かりに自分が十分に用心していても、勤め先の会社が業績悪化で倒産したりあるいは合併されたりで、社員の収入が大きく減少する不可抗力的なケースもあり得ます。
他にも転職によって契約社員になったり、転籍によって給与体系が変わったりするなど、「収入計画が、想定当時から大きく減少するケース」を最初から想定しておいたほうが、むしろよい時代になりつつありますね。
せっかく入社時に加入した保険をやむなく解約せざるを得なくなった...といった事情変更が自分の長い人生でまったく起こらない、と考えてライフプランを組むリスクが、いまやかなり高くなっているのです。
あるいは保険契約を解約しないまでも、年月が経つにつれ家族構成や収入状況は必ず変化するため、主契約につけていた特約をはずしたい状況がでてきた時に、保険の場合は加入時の契約条件にしばられてうまく変更ができないケースが出てくるかもしれません。
契約時に先々のリスクを考慮に入れて動くのは、誰にとっても難しい作業ですが、いざというときにより柔軟な対応ができるという点では、共済に軍配があがります。
したがって保険が主役の座を譲ることは無いにせよ、保険の不十分な部分を追加や組み替えでカバーしたり、経済的に苦しいときには共済に数年程度ピンチヒッターをつとめてもらう、という発想が必要です。
その意味でも、誰もが共済を日頃から研究して加入の可能性を検討しておく時代になっている、と言えるでしょう。
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