共済とは、そもそもどのような仕組みになっているのでしょうか。
共済は、特定の人だけが加入する団体の構成員に限定して展開する事業です。
「特定の人」というのは、同じ地域に住んでいるとか、同じ職場に属しているとかいう形で、対象が限定されているということです。
その団体の構成員が、おたがいの福利厚生を目的に相互に助け合うこと(相互扶助)を、「共済」と呼んでいるわけです。
したがって共済に加入したければ、その前に(または同時に)、その共済(全労済やコープ共済など)の組合員になる必要があります(ただしJA共済の「員外利用」など、一定割合まで組合員以外の利用が認められる共済もあります)。
組合員になるときには、「出資金」を添えて申し込む必要があります(1,000~5,000円程度を、加入時に預けます。金額は共済・組合によって異なります)。
ちなみに出資金は、その組合からの脱退時に返してもらえます。
共済の目的が「相互扶助」であるのに対して、保険会社の場合は一定の公共性が求められるものの、「自社の存続と事業の拡大」が目指すべきところとなります(大手の生命保険会社は営利を目的としない「相互会社」の形態をとっていますが、実質的には株式会社が行うビジネスと変わりません)。
また共済が「組合員」という特定の人だけを対象とするのに対し、保険会社は「不特定多数」を対象として受け入れている点も、違いとなります。
このような違いもあり、「共済」と「保険」では、それぞれ用語が厳密に使い分けられています。
共済に加入する人は「組合員」であり、支払う金額は「出資金」「掛金」と呼ばれます。
これに対して保険会社の保険商品に加入する人は「保険契約者」であり、支払う金額は「保険料」と呼ばれています。
共済の世界では、「契約者」という言い方をするケースはあるものの、「保険料」「保険金」とは言わないので注意しておきましょう。
保険は、金融庁が監督・規制をする「保険業法」という法律に基づいて運営されなければならず、保険会社以外が保険業を行ったら法律違反になります。
共済は個別に立法された特別法や根拠法にもとづいて事業運営されていますが、共済によって法律も異なります。
ちなみに2008年6月に「改正保険法」が成立し、2010年4月から施行されています。
名前が似ていてまぎらわしいのですが「保険法」は、「保険業法」とイコールではなく、保険と保険会社に関するルールである保険業法よりも上位に位置する法律です。
「保険法」は、「保険」と「共済」の両方に適用されます。
すでに施行された保険法のもとでは、仮に共済や保険の契約で事業者によって、契約する側に不利な特約が約款に盛り込まれたとしても、契約者保護の観点から、一定の重大な事由がある場合には上位法である保険法によってこれを無効とすることもできるようになるわけです。
このように共済でも保険でも、全体として「契約者・加入者保護」の観点がますます強まる流れにあるのです。
なお、以前は根拠法の無い「無認可共済」がありましたが、改正保険業法により、2008年4月からは保険会社・少額短期保険業者・規制対象外となる小規模な共済・あるいは廃業のいずれかに分類されることになりました。
したがって現在の制度上、無認可共済なるものは存在しません。
無認可共済の宣伝や紹介などのウェブサイトがいまだに散見されますが、それらは古い情報ですので、注意しましょう。
共済の世界では、「JA共済」「県民共済」「全労済」「coop(コープ)共済」が、俗に「大手4共済」と言われています。
大手4共済はいずれも、「協同組合」がそれぞれの根拠法にもとづき、所轄官庁のもとで認可を受けた共済事業の運営を行っています。
このうち、「JA共済」は「農業協同組合法」が根拠法となっていて、農林水産省が管轄しています。
全国共済農業共同組合連合会(JA共済連)、および各地の農業協同組合(JA)が、その組合員に対して行う共済です。
また「全労済」「県民共済」「coop(コープ)共済」は、「消費生活協同組合法(生協法)」が根拠法となっていて、厚生労働省が管轄しています。