共済はそもそも「相互扶助」、万一の際は最低限の保障はまかなえるように組合員同士でお互い助け合う、という考え方がベースとなっています。
保障のスキームも、年齢を問わず同一の保障を提供する「一律保障・一律掛金」が共済の特徴となっています。
そのため高額な保障を希望したり、自分の家庭にあった保障をオーダーメードで組み立てたいという層にとっては、やはり保険のほうが柔軟に対応できることも確かです。
フィナンシャルプランナ-(FP)のなかには、業務で保険・保障のプランを設計するときに、万一の際に支払われる保障金額が高くないとして、共済を積極的にすすめない人も多いようです。
また、一般に高齢になるほど、医療保障を手厚くして備えるべきであるのに、多くの共済で「60歳を超えたときから保障金額が下がる商品設計」になっていることも、長期で家族の保障を考えていくときのネックになっています。
もっとも共済サイドもこの点は認識しており、現在はどの共済も高齢者向けや終身保障をうたった新商品の開発に積極的に取り組んでいることから、この点がかなり改善された商品も少しずつ登場してきています。
さて、生命保険ならば万一のときに高額の保障が得られるにせよ、最近の家計に厳しい経済環境のもとでは保険料を大きく負担に感じる家庭も増えてきていることも、また事実です。
実際に、生保・損保・共済の契約件数全体を分母にして共済がその中に占める割合は、年々右肩上がりで上昇してきています。
その一方、家計の可処分所得に占める保険料の割合は、逆に年々右肩下がりとなっています。
保険料負担に苦しむ家庭が増えるなか、家計防衛のため共済へとシフトする傾向が年々鮮明になってきているのです。
共済の魅力は、なんといっても「比較的安い掛金で、ある程度の保障を得られる」ところにあるのではないでしょうか。
共済はあくまで福利厚生を目的としており、利益を出すことを目的とはしていません。
もちろん事業にかかった経費などは取り置かれて使われますが、それはあくまで運営費であって、ビジネスとしての利益拡大を意図したものではないわけです。
その運営費すら、大手共済はどこも加入者への割戻率を高めるべく、細かな経費削減の積み重ねを徹底しています。
ご存じのように、その共済の決算後に剰余金がでた場合は、一定金額が「割戻金」として、加入者に払い戻されます。
これは保険でいえば、「配当」に相当するものです。
共済の加入においては、この割戻金の前年実績や数年間の推移をみて、年間の掛金合計から割戻金見込額をマイナスして、実質的な年間負担額をはじきだすのがよいでしょう。
この割戻率は共済によってさまざまで、またその年度の運営環境・事業環境によっても左右されますが、その年度に支払った掛金総額の「2~4割程度」が、加入者の口座に戻ってきます(割戻金が確定後、共済から「決算のお知らせ」が届き、加入者の口座に該当金額が振り込まれるのが一般的です)。
なお県民共済においては、割戻率は全国一律ではなく、都道府県ごとに異なっているようです。
この割戻率の善し悪しは、加入者にとっては、その共済がどれくらい効率的に運営されているかということをみるための目安のひとつにもなるわけです。