共済は掛金の安さが魅力ですが、高齢期の備えとしては手薄になってしまうのが弱点です。
満60歳以降からは脱退するか、あるいはいわゆる「移行タイプ」に継続加入するかの選択になります。
一般に加入は85歳くらいまで可能でも、保障内容は60歳以降から段階的に縮小されていくのが通常です。
たとえば掛金の月額が上がる一方で、入院日額が半額になったり、通院日額や手術の保障が無くなったりするわけです。
これは 共済、割戻金のメリット~共済のシェア拡大を下支え でもお話したとおり、共済という商品の構造上、仕方ない面があります。
共済は加入者の平均年齢があまり上がらないことで、一律の掛金で同じ保障を提供することが可能になっています。
一般に年齢が上がるにつれ保険料も高くなっていく保険と、対比されるところです。
病気にかかるリスクがどうしても多くなる高齢者の加入が一本調子で増えると共済金の支払いが増えるため、掛金の割戻しも充分に行えなくなる点が、共済の現状における課題となっています。
これを解決する方向は
(1)若い人の新規加入者を増やすこと
(2)加入年齢に上限を設けて、平均年齢の上昇を抑えること
(3)掛け金を値上げしたり、保障内容を削減すること
の3つになります。
他の共済や保険会社との競争上、(1)と(2)は大手共済に共通する方向性となっています。
特に(1)については各共済とも、掛金の安さと割戻し率の高さをアピールした「こども向けの共済」に注力しています。
(3)については個々の共済の経営戦略の問題となりますが、日本では年齢構成も逆ピラミッド化が進み、今後の若年の新規加入者の大きな伸びが期待しがたい状況にあります。
また最近は保険会社の商品開発力も上がってきており、ネット申込に限定された一部の保険商品には、割戻金を考慮に入れた実質的な負担額を除いて考えれば、ほぼ同内容の共済より割安な商品も登場してきています。
したがって主要な共済は今後、シニア層・高齢者向けに長期の医療保障内容を手厚くした、特色ある商品ラインアップを増やすことにより、競争力を高める戦略を志向するものと見られています。
上述した共済の基本的なしくみ上、高齢者特化型の商品が主流となるにはまだ時間がかかる見通しですが、たとえば基本商品に付けられる「高齢者向け特約」も、今後は増えてくることでしょう。
大手共済の一部には中高年向けとして、病歴や持病のために従来の医療保険に加入できない人を対象にした「引受基準緩和型」の共済が出てきています。
公的年金の補完商品として、一定期間ごと定期的に受け取るタイプか、あるいは生涯に渡り受け取ることのできる終身タイプを選ぶ「(個人)年金共済」などの貯蓄型商品もあります。
ただし2016年初頭からの日銀のマイナス金利政策の導入により、長期の資金運用が必要になる貯蓄型商品は、共済にとっても保険会社にとっても、一段と販売が難しい事業環境になってきました。
共済の今後の商品開発・販売戦略に、注目したいところです。